前回記事で、人事評価制度を作りには企業理念が必要だとお伝えしました。
ところが、企業理念を作っていない、または作っていても業務に落とし込むまでできていないという中小企業は少なくありません。
今回の記事では、企業理念を人事評価制度に落とし込み、社員の行動を変えていく企業理念の作り方をご紹介します。
心に響く企業理念
企業理念は一言で内容が伝わり、人の心を動かすものであることが理想的です。
事業を通して社会にどんな価値提供をしていきたいかが明確に伝わり、共感を得られれば企業の信頼度が上がります。信頼度が上がればこの企業に依頼したいと思う顧客も増え、働きたいという人材も増えます。
経営に携わり、様々な企業と取引をする方であれば、何かを依頼したいと思う時、同じものでも最終的には人柄や信頼性で選ぶという判断をすることが多いのではないでしょうか。
その企業のあり方や方向性を文章1つで伝えることができれば企業ブランディングを高めることができます。
「この事業でこのような思いで社会に貢献していきたい」「こんな企業に成長していきたい」ことを明文化することは大きなメリットがあります。
CSRとCSVの違い
CSVは社員に浸透する企業理念を作る上で参考になるキーワードです。
いくら素晴らしい理念を掲げても、事業に浸透せず空論になってしまえば意味がありません。
漠然と「社会貢献」や「心のあり方」を提示しただけでは浸透しない可能性が高いです。
CSRとCSVはどちらも企業が利益目的だけでなく社会に貢献するという考え方です。
日本では先にCSRの概念が広がりましたが、近年SDGsが提唱されたことでCSV経営が広がっています。
大企業でもCSRからCSVに変遷している上、中小企業でもCSV経営に興味を示す企業が増えています。
CSR、CSVの違いを知ることでなぜ中小企業が関心を持っているかが見えてきます。
このように、CSRは寄付やボランティア活動など事業と関係なく掲げる理念であるのに対し、CSVは事業に直結しています。利益と企業イメージどちらも高めることを目的としています。
企業理念と事業がまったく違えば社員の共感を得にくく、理念によってモチベーションアップを図ることや、企業理念に沿った人材を育成することが難しくなります。
企業理念を事業に直結させることで日々の業務にまで落とし込むという面で、CSVは人事評価制度を作るためにも参考になる考え方です。
理念を文章化する
企業理念の重要性がわかり、いざ作ろうと思ってもすぐには思いつかないかもしれません。
経営者としての理念は明確だったとしても、それを一言で伝えるのは難しいものです。
企業理念を作るステップをご紹介します。
他社を参考にする
まずは色々な企業の理念を読んでみてください。中には面白いと感じるもの、共感が得られるもの、意外性のあるものなど様々な理念があります。同業だけでなく違う業種の理念もヒントになります。
考えを書き出す
経営者であるあなたの考えを書き出してください。いきなり完成形の文章を書くのではなく、思い浮かぶキーワードを書き出していくことでイメージが固まります。
「なぜこの事業をやろうと思ったのか」
「この事業でどのような価値を提供していきたいのか」
「企業として、人としてどのように成長していきたいのか」
「この事業で解決できる問題は何か」
など、ご自身に問いかけながら進めると考えを書き出しやすくなります。
原案を作る
書き出したキーワードを参考に原案を作ります。キーワード同様にいきなり完成させようとせず、キーワードを組み合わせて複数案を出していきます。
時間をかけ見直し、ブラッシュアップすることで心に響く文章を見出していきます。
思いつかず困った時
書き出すキーワードに行き詰ってしまったり、うまく文章にできないこともあります。
そのような時は1人で考えず、社員と一緒に案を出せばアイデアも増え、社員から共感を得やすくなります。
また、コンサルなどプロ任せるという方法もあります。
プロであれば文章の作成だけでなく、社内に浸透させる効果的なノウハウなども持っています。
時間がなく企業理念を作れないという時もプロに相談することをオススメします。
▶ https://wakusuma.com/service/worker/
まとめ
心に響く企業理念を作るには一言で内容が伝わり、人の心を動かす文章を考える必要があります。
企業理念を人事評価制度に落とし込むことができれば、社員の行動を変え人材育成を図れます。
企業理念を作る時にはCSVの考え方を取り入れ、事業に直結した理念を作ることで共感を得やすくなります。
理念のキーワードを書き出し、考えを掘り下げていくことでブラッシュアップしていきましょう。
社員と一緒に考えることで共感できる理念を作り出すことができます。また、難しい、時間がないといった場合はコンサルなどプロに任せれば効率的かつ効果的な理念を作成することができます。