人事評価制度をこれから導入するのであれば、適切な制度を構築するのはもちろん、導入後も潤滑に運用していくことが重要です。
ところが、目的が明確でないまま導入してしまうと、その効果が得られない上、運用を継続することが困難となり、評価制度を構築しただけで終わってしまったというケースは少なくありません。
この記事では、人事評価制度の目的、企業理念と人事評価制度についてご紹介いたします。
何のために評価制度を導入するか
人事評価制度の本質的な役割は、人的資源(ヒト)の効率的活用に欠かせない「能力 発揮・開発の意欲」を引き出すマネジメントツールとして機能させることにあります。
人事評価制度を導入した場合、従業員の処遇の決定や、人事の最適化等、管理する側から見てメリットがあることは想像することができますが、本来の目的は単なる人事業務効率化ではありません。
人事労務管理は、社員を人的資源と考え適切に管理していくことです。
ところが、モノやカネという他の資源と比べ、ヒトには主体性があるため思い通りに行きません。
社員が思い通りに動いてくれないという悩みを持つ経営者は多いのではないでしょうか。
また、社員側からすれば正当な評価がされていないと不満があれば、モチベーションも下がり本来の能力を発揮することもできません。
このような経営者と社員双方のズレをなくし、お互い納得する上で行動し、その評価をすることができれば理想的です。
経営者が社員に何を求め、どのように行動して欲しいかを明確にした上で、できたかできなかったかの評価を数値化することによって、双方が納得し合えるしくみを作ることができます。
評価制度導入による問題点
目的が不明確なまま導入すれば、様々な問題が起こります。
一般的な評価基準をそのまま流用し、見栄えのいい制度を作っても逆効果になってしまいます。
≪ よくある問題点 ≫
1.企業側の目的が社員に伝わっていない
2.評価結果が給与に反映しない
3.評価される内容が不明確
4.現状とマッチしていない評価基準
このような問題を避けるには、企業理念やビジョン、事業の目的を明確にし、具体的な行動に落とし込んで評価項目を作ることが重要です
企業理念と人事評価制度
企業理念を作っていない、作っていはいるが浸透していないという中小企業は多くあります。企業理念の必要性をあまり感じていないという経営者の方は意外と多いのではないでしょうか。
しかし、企業理念がない会社は社会からも、社員からも信頼が得にくく方向性が定まりません。
人事評価制度を作るにあたっても、企業理念は非常に重要です。
何より経営者自身が情熱を持てる理念を持つことが組織として目標に向かっていくには欠かせません。
企業理念を明確にすることが、評価制度導入の第一歩になります。
理念を評価項目に浸透させる
どんなに立派な企業理念を掲げても、日々の業務に浸透させなければ空論に終わってしまいます。
理念を浸透させようと朝礼で理念唱和をするだけではむしろ逆効果となってしまい、やればやるほど社員の心が離れていってしまいます。
企業理念を人事評価項目に浸透させ、具体的な行動に落とし込むことで社員は何をすれば評価されるかが明確になります。日々の業務の中でも「これは理念に沿っているのか」を自主的にチェックすることができれば、自然に企業理念も浸透して行くでしょう。
目的に合った人事評価制度を導入するには、まずは企業理念を明確にすることで企業に合致した評価項目の設定ができ、導入後の運用もしやすくなります。
人事評価制度は、目的を明確にすることで企業の欲しい人材を育成するためにとても有効なしくみです。
まとめ
人事評価制度の本質的な役割は、人的資源(ヒト)の効率的活用に欠かせない「能力 発揮・開発の意欲」を引き出すマネジメントツールとして機能させることにあります。
目的が不明確なまま導入すれば、様々な問題が起こります。人事評価制度を作るにあたっり、企業理念は非常に重要です。企業理念を明確にすることが、評価制度導入の第一歩になります。