経営者や人事担当者など、社員の評価をしなければいけない立場の方であれば「人を評価するのは難しい」と思ったことがあるのではないでしょうか?
あなたはこの二人の社員をどう評価しますか?
クレーム対応する2人の社員
お客様から「納品されたものが違っている!」というクレームが入りました。
担当営業の発注ミスによるものです。
日頃から売上成績がいい社員Aと、いつもクライアントからの評価が高い社員B。
同様のクレームが入った時の対処が異なりました。
社員A「申し訳ありません。早急にご注文の品を納品いたしますが、差額をお支払いください」
社員B「申し訳ありません。早急にご注文の品を納品いたします。差額は弊社で負担いたします」
あなたはどちらが正しいと評価しますか?
評価のワナ
あなたはきっと、こう考えたのではないでしょうか。
「レベルや状況によって違うから、これだけではわからない」
お客様へ差額が発生することと、その支払いを要求した社員Aは、会社の損失を防ぐことを優先しました。
それに対し社員Bは、お客様の信頼を損なったことへの対処を優先しました。
2人の社員はそれぞれ、自分考える価値基準で行動しました。
売上という数値を基準にすれば社員Aが正しいかもしれません。
顧客の信頼を基準とすれば社員Bが正しいかもしれません。
2人の社員はどちらも正解です。
それぞれの正解を実行した2人の社員を上司が評価する時、上司の個人的な価値基準と一致する社員を高く評価したとしたら、もう一方の社員はどう思うでしょうか。
評価の基準が「売上目標アップ」だけだったとしたら、社員Bを正しく評価できるでしょうか。
同様に、お客様の信頼度の基準だけなら、社員Aを正しく評価できるでしょうか。
ほとんどの方が評価はできないと答えるはず。
これが、人が人を評価することに潜む「ワナ」です。
なぜ評価が難しいのか
人が人を評価することが難しい理由は、人それぞれ価値基準が違うからです。
2つのものを比べる時、
同じものさしであればその長さや大きさの差を計ることができますが、ものさしが違えば比較することはできません。
では、会社として2人の社員を平等に評価するために
「どちらもいいところがあるから、どちらもいいじゃないか」
「みんな違って、みんないい」
と、個性を重んじて寛容に考えればいいのでしょうか。
それでは、会社として目指す方向から逸脱してしまう可能性があります。
経営者は会社の目指す方向をへ社員を導く必要があるからです。
数値基準のワナ
売上、や〇〇率といった数字は物事を比較するにはとても分かりやすい基準です。
社員A,Bを比べ、結果として売上が高い方を評価すればいいと考えるのが一番楽でしょう。
個々の社員の個性まで評価することは難しいため、
わかりやすく、楽だからという理由で数値を基準に評価している企業は多いです。
ところが、数値基準だけで評価するとその中身はもろく、強い企業にはなれません。
社員の育成につながらないからです。
組織崩壊はこのパターンが多いのです。
人を評価するために必要なこと
人を評価するために必要なこと
価値観とは「何を重要視するか」の判断基準であり、これにより優先順位を判断します。
人それぞれ違う価値観を持ち、その価値観に合った行動を正しいと考えます。
価値観に違いがあれば、それぞれに優劣をつけることはできません。
何かを比較評価する時には「同じものさし」が必要です。
次回記事で、同じものさしを持つ方法をご紹介します。
▶ 人を評価するための「ものさし」を創る