テレワークは、新しい働き方として注目を集める一方で、勤怠管理が難しい一面があります。
しかし勤怠管理の問題と対策を把握することで、テレワーク導入後の勤務時間や給与の管理がしやすくなります。
今回は、テレワークにおける勤怠管理の要点について解説します。
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働き改革で変わる勤怠管理
2019年4月に施行された働き方改革関連法。
厚生労働省の定義する働き方改革の目的は、以下となっています。
“我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
(中略)
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています”
参考:厚生労働省webサイト
このような政府の動きをきっかけに、自宅で育児などをしながらでも働けるテレワークを導入する企業が増えているのですが、勤怠管理が難しい面もあるため、気が付くと、規制に引っ掛かり違法労働となってしまう場合もあります。
働き方改革関連法では、労働時間・年次有給休暇の取得法に規制がかけられ、時間外労働の上限規制と年次有給休暇5日間の取得義務が掲げられています。もし規制に違反した場合、対象者一人に対して最大30万円の罰金が課せられる可能性があるため、注意が必要です。
テレワークでの勤怠管理の難しさとは
なぜ、テレワークでは勤怠管理が難しいのでしょうか。具体的な理由を見てみましょう。
①勤務状況が管理しにくい
企業には従業員の健康と生活環境を守る必要があるため、適切な勤怠管理・労務管理で労働者の勤務時間を管理する義務があります。
勤怠管理の方法を定めた厚生労働省ガイドラインによると勤怠管理の原則として、
- 使用者が自ら確認・記録すること
- タイムカード・ICカード等の客観的な記録によって確認・記録すること
の2点を定めています。
しかし、在宅勤務では勤務状況を管理するICカードや固定式タイムカードの利用が難しいため、勤怠管理は自己申告になりがちです。
自己申告では、オフィスへの出社のように社員の姿を直接確認できないため、申告された始業時間や休憩時間が 正しいかなどの把握などが難しくなります。
また、在宅勤務では私用で離席する中抜け時間が生じやすくなります。中抜け時間の扱いとしては休憩時間扱いにしてその分始業を早める、時間単位の有休扱いにする、といった方法があります。
しかし、これらの方法も社員が正確に勤怠報告してくれることが前提です。
また、紙のタイムカードをエクセルに入力しなおして管理すると、集計作業に労力がかかり、ミスも起きやすくなります。
テレワークは場所を選ばない働き方として注目を集める一方、遠隔で勤務ならではの問題が起きやすい形態なのです。
そのため、従業員の負担が少なく、かつ労働時間が把握しやすい勤怠管理法が必要といえます。
②コミュニケーション不足になりがち
テレワークにおける勤怠管理に紐づく問題として、コミュニケーションの難しさもあります。
テレワークは実際に対面して仕事をしないため、業務の指示がうまく伝わらない、業務の進歩状況の確認に時間がかかるといった問題が起きやすいのです。
総務省のテレワーク導入やその効果に関する調査では「他の従業員から孤立している」と答えた人が 15.5%でした。
参考:総務省ホームページ
管理者側だけでなく、テレワーカー側もコミュニケーションの困難さを感じている結果と言えるでしょう。
③成果物や労働時間での評価が中心になる
業務評価の難しさもテレワークの特徴です。
営業やプログラマーなど成果物で評価されるポジションはテレワークに対応しやすい仕事ですが、事務職などの場合、評価基準が曖昧になりがちなため労働時間で評価せざるを得ないところがあります。
しかし、テレワークは社員がオフィスに出向いてタイムカードを押すわけではないので時間管理が難しい面があります。
では、これら勤怠管理に関する課題を解決するにはどうすれば良いでしょうか?
勤怠管理システムを導入するメリット
テレワークを導入する際には、遠隔でも時間管理ができる仕組みを整備する必要があります。
これまでのテレワークの勤怠管理は、主にメールや電話で勤怠状況を確認し、管理者は記録をエクセルなどに記入して管理する方法が取られていました。
しかし、これらの方法ではどうしても誤入力や不正入力が発生してしまいます。そこで有効なのが、出退勤の管理から給与の清算までPC上で一括で管理できる勤怠管理システムです。
ここからはテレワークに移行する企業が勤怠管理システムを導入することで、どのようなメリットがあるのかまとめます。
メリット①違法な長時間労働を防ぐ
企業は本来、全労働者の就労時間を正確に把握する義務があります。しかし、労働時間の把握が徹底されないことで、法定労働時間を無視した違法労働につながってしまう恐れがあります。
問題が公になると調査が行われ、一定の違法条件を満たす場合は指導勧告や企業名が公表されるため、企業にとって大きなリスクです。
しかし勤怠管理システムを導入すれば、社員の出退勤の時刻が確実に把握できるため、長時間労働を防ぐことができます。
メリット②勤務時間などを正確に把握できる
勤怠管理システムの最も基本的な機能として、従業員の就業時間を正確に管理できることが挙げられます。
製品によっては、遠隔で働いている社員のPC画面をスクリーンショットで撮影し「さぼり」を防止する機能が搭載されています。
メリット③有給休暇など各種申請も把握できる
勤怠管理システムでは、これまで紙で管理していた有給申請など、従業員からの様々な申請を一括で管理できるものもあります。
メリット④人事と管理職の負担を軽減出来る
通常の労務管理では、残業集計のため毎回業務時間を集計する必要があります。人事担当者は集計したデータを各部門の管理者に回す必要もあり、大きな負担となります。
しかし勤怠管理システムを導入すれば、各管理者が残業時間をいつでも確認することができるため、人事と管理職の負担が軽減できます。
勤怠管理システム選定のポイント
勤怠管理システムを選ぶ際にどのような点に気を付けるべきでしょうか。
勤怠管理システム選定のポイントを見てみましょう。
①コストとサポート体制
勤怠管理システムは、自社で用意したサーバーにソフトウェアをインストールして利用するオンプレミス型と、サービス提供者が用意したサーバーをインターネット経由で利用するクラウド型があり、かかるコストが変わってきます。
オンプレミス型は自社サーバーを利用するため、セキュリティ面でより安全ですが、コストが高くなります。
クラウド型は、インターネットに接続すれば利用場所を問わないためリモートワークなどに向いています。
勤怠管理システムを導入する際は、自社の規模からシステム導入にかけられる金額を考え、コストに見合ったシステムを導入する必要があります。
また、サポートが手厚い製品を選ぶことで管理者の負担を減らすことができます。
例えば、日本語でのサポートの有無、サポート窓口の営業時間、質問への回答が帰ってくるまでの所要時間といった運用面でのサポートに加えて、ツールの操作習得などの教育サポートなどがあるものを選ぶと便利です。
②自社の勤務体系に適しているか
企業によっては、フレックスタイム制やシフト制など複数の働き方を導入している場合がありますが、勤怠管理システムによって管理できるパターンは異なるため、自社の勤務体系に適したシステムの導入が必要です。
全ての勤務体系に対応した勤怠管理システムを選べば、より快適に勤怠管理ができるでしょう。
③社員が使いやすいシステムを選ぶ
どれほど優れた勤怠管理システムであっても、社員が使いこなせなくては意味がありません。
特に給与面での運用がうまくいかない場合、法令違反につながる恐れがあります。そのため、検討の段階で、社員が使いこなせるかを精査する必要があります。
④給与システムとの連携機能
勤怠管理システムを導入しても、給与システムと連携していないと、余計な手間がかかってしまいます。
テレワークで勤怠管理システムを導入するときは、自社が採用している給与システムと連携できるものを選ぶようにしましょう。
⑤法対応の仕組み
新たに法改正で罰則が定められた場合などに、システム上で通知してくれる機能が備わっていると安心です。検討中の製品がある場合は、法対応がシステムに迅速に反映されるかも確認しましょう。
⑥各種申請・承認機能
製品によっては、システム上で有休や慶弔の休暇申請や、残業・休日出勤の申請・承認ができます。
紙面上で行う作業を電子化することで業務を効率化することができるとともに、休暇の取得状況もわかりやすくなるため、有給休暇の取得促進も期待できます。
無料トライアルのある勤怠管理ツール
勤怠管理ツールによってはトライアル期間を設けている製品も多く、大半のトライアルが有料プランの全機能が試せます。
ここで無料トライアルのある勤怠管理ツールの代表的なものを紹介しますので、トライアル期間を過ぎないように注意しながら、複数のシステムを試してみると良いでしょう。
KING OF TIME
株式会社ヒューマンテクノロジーズが提供しているクラウド型勤怠管理システムです。
打刻情報をブラウザ上にリアルタイムで記録し、管理者は反映された情報を閲覧することができます。
システムに会社内のルールを反映することができ、残業時間を会社内で制限している場合や、有給休暇を取得しなくてはいない月などを自由に設定できるのが特徴です。
職種や役職など個人単位でのルール設定もできるため、会社の拠点単位で権限を付与すれば、それぞれの勤怠管理担当者に現場管理を任せることができます。
企業、現場の環境にあわせて柔軟に設定できるKING OF TIMEは、これから業務のデジタル化を考えている企業にとって利用しやすいシステムといえます。
タッチオンタイム
タッチオンタイムは、初期費用無料の勤怠管理ツールです。
特徴は、
- シフト管理機能
- 休暇管理機能
- 導入から運用までのサポート体制
といった豊富な機能を、1人当たり月額300円の低価格で利用できるコストパフォーマンスの良さが特徴です。また創業80年の寺岡精工グループの製品という点も安心感があります。
Webブラウザ、モバイル打刻認証、ICカード認証など様々な形式で出退勤管理が可能であり、生体認証システムを搭載し、不正打刻を防止します。
さらにタッチオンタイムでは、集計した勤怠管理データがCSVを使って出力できるため、給与計算にかかる負担が大幅に軽減できます。
CLOUZA
CLOUZAは利便性の高さが特徴の勤怠管理サービスです。勤怠データをデータセンターで管理しているためネットワーク環境があれば場所を選ばず勤怠管理できます。
利用料金は、ユーザー1人あたり月額200円とリーズナブルな価格設定です。
社員はスマホやパソコンで勤怠管理ができ、管理者も社員の勤怠情報を社外でも確認することができます。自社以外でも使用可能なため、顧問先の勤怠管理システムとしても使用できます。
また、CLOUZAにはシフト管理機能もあります。
本社の勤務者だけでなく、各拠点の管理者も登録できるので、拠点ごとにシフトを管理することができ、管理者の負担が軽減できます。複数の店舗でパートタイマーを多く抱えている会社などに便利な機能です。
作成したシフトはpdfでの出力も可能なため、印刷してシフト表として共有できます。
時間外労働や休日出勤を画面への警告表示で通知するアラート機能も搭載されており、違法労働を防止することができます。
企業によって求められる勤怠管理システムは異なりますが、利用範囲、就業規則、業務の対応範囲、自社が属する業種の特性を考慮して、できるだけ自社に適した製品を選ぶようにしましょう。
テレワーク勤怠管理の悩みはワークスマイルラボにおまかせ
今回はテレワーク勤怠管理の問題点と対策を紹介しました。テレワーク勤怠管理には注意すべき問題点がありますが、適切な対処を知ることで仕事の生産性を上げることができます。
ワークスマイルラボでは「『働く』に笑顔を!」をコンセプトに、新しいワークスタイルを提案します。
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など、どのような内容でもお気軽にご相談ください。