テレワークを導入する企業は年々増加しており、この記事を読まれている方の中にも、導入を予定している方もいらっしゃると思います。
しかしテレワークを始めようと思っても、何から始めればいいのかわからない場合も多いのではないでしょうか?
今回は、基本的なテレワーク導入のやり方について解説します。
コンテンツ
テレワークのやり方①ネットワークの構築法
自宅でテレワークを行う際には、会社とのネットワーク環境の構築が必要ですが、そのネットワーク構築にはいくつかの方法があります。
リモートデスクトップ方式
リモートデスクトップ方式とは、テレワーク端末からネットを介してデスクトップパソコンに接続する方式です。リモートデスクトップでは、最低でも社内パソコンと自宅で使用するパソコンの2台が必要になります。
クラウド方式
クラウド方式はインターネットを通じてビジネスアプリケーションを用いる方法です。ビジネスアプリケーションとは、会議アプリや文書作成アプリなどの業務効率化ツールのことです。
クラウドアプリは、スマートフォンなどでもネット環境さえあれば利用できる利便性があります。
クラウドアプリは無償版と、セキュリティ面などが強化された有償版が用意されていることがあり、ビジネス用途でセキュリティ対策が必要な場合は、有償版がおすすめです。
外部持ち出し方式
外部持ち出し方式は、通常の業務に使用しているパソコンをテレワークで利用する方法です。
持ち出しのメリットは、新たにパソコンを導入するコストが発生しないことでしょう。ファイルやソフトを移動する必要がないため、テレワークへの移行がしやすいのも利点です。
ただ会社のパソコンを外に持ち出すため、情報漏えいには注意しなくてはなりません。
HDDの暗号化、私物USBの接続を制限するなどの対策が必要になります。
状況に応じてベストな方法を選ぼう
安全性を考えるなら、リモートデスクトップ方式が勝りますが、クラウド方式、外部持ち出し方式は手軽にシステムを構築できるメリットがあります。
業務内容、扱う情報の機密性などを考慮して自社に適した方法でネットワークを構築しましょう。
テレワークのやり方②実践的テレワーク導入法
テレワークを導入するにあたって、会社をテレワーク体制に移行するにはどうすればいいのでしょうか。
テレワーク導入のプロセスを見てみましょう。
導入目的の明確化
まず、自社がテレワークを導入する目的を明確化します。例えばテレワーク導入の動機として、
- 顧客対応を迅速にしたい
- 通勤時間など余分な稼働時間を削減したい
- 非常時に備えてリスク分散をしたい
- オフィスの賃料を削減したい
などが考えられます。
テレワーク導入によって自社がどう変わりたいのかを明確化しましょう。
プロジェクトチームを立ち上げる
次に、テレワーク導入に向けたプロジェクトチームを作ります。特に、中規模以上の会社ではテレワーク導入も大規模になることがあります。
テレワークを導入する予定の各部署からプロジェクトメンバーを集めると、共通認識のもとで動くことができます。
会社の現状を把握する
プロジェクトチームを立ち上げ、基本方針を策定した後は、業務の現状を分析・把握しましょう。
そして、テレワークが必要な職種と不要な職種に分類し、各職種の作業内容を分析します。そうすれば、プロジェクトとして進むべき道筋が見えてくるでしょう。
各ポジションの仕事内容を分析・把握した後は、以下の観点からテレワークが可能な環境かを精査します。
- 利用中のPC環境でテレワークは可能か
- 追加で必要な機材などはあるか
- 決済申請書の作り方や承認方法はテレワークに適しているか
- テレワーク用に新たに業務体制を整える必要はあるか
- 厳重にセキュリティ対策できるか
仮にテレワークが可能な仕事であっても、セキュリティ対策で問題は生じないかなどを考える必要があります。
もし現状把握をせずにテレワークを導入すると、会社にとって不要な設備投資が生じた、テレワークのシステムが形骸化してしまった、という結果も考えられます。
それぞれの現場の現状と働き方を熟知したうえで、人事制度の見直しなど抜本的な企業改革を含めてテレワークの導入を考える必要があります。
テレワークの形態確認
テレワークにはいろいろな形態があるため、自社に適した働き方を選定します。
モバイルワーク | 主に移動先、顧客先などで働く |
在宅勤務 | 社員の自宅で働く |
サテライトオフィス | 企業が設けた社外オフィス、レンタルオフィスなどの空間で働く |
またテレワークの形態だけでなく、まずは週3日などの部分的導入にするか、常時導入するかも検討する必要があります。
社内への説明
現状の把握と形態確認ができたら、社内でテレワーク導入についての意見・方針を統一し、ルールを策定するステップです。テレワークの理解を進める流れについては、経営者からのトップダウン以外であれば、
- プロジェクトチームによる起案
- 経営層への説明
- 関係者への説明
という順番で動くのが良いでしょう。
この段階では、プロジェクトチームと経営層の意思疎通が重要になります。プロジェクトチーム側では経営層に対して、テレワークが会社に与えるメリットについて説明し、テレワーク導入での経営層側の役割などを明確に伝えます。
労働条件について協議する
次に、労務管理部門と連携しながら、テレワークにおける労働時間や給与についての条件のすり合わせを行い、労使間でテレワーク導入の認識にズレがないようにします。そして基本方針として決めたことを労使委員会と協議し、協議内容は必ず文書で保存するなどします。
尚、労働条件の変更は、労働組合、または労働者の過半数を代表する人との合意が必要です。
テレワークの各種ルール策定
社内情報が外に持ち出される点や、職種によっては勤怠管理が難しくなるなど、テレワークでは既存のルールで対応できない状況が発生します。
そこでテレワーク実地範囲の検討や、就業規則の見直し、必要なルールを策定し、同時にICT(コンピューター周辺)環境の確認と、導入すべきツールの選定などを行う必要があります。
模擬テレワークの実施
本格的にテレワークを導入する前に、テスト導入が必要です。目安としては、3か月以上のテスト期間を設け、それをもとに検証を行います。尚、模擬テレワークは、主に社内の自室で個室を想定して行います。
そして模擬テレワークを行って見えた課題をもとに、本導入に向けて最終調整をします。
具体的に検証すべき点としては、
- システムや機材の不具合
- 導入後の業務状況や納品物の質
- プライベートと仕事を両立できるか
- コミュニケーションの状況と質の変化
- 新たな問題や改善すべき点はないか
などです。
テスト導入ではPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルに基づいて問題点を改善するのがベストです。
テレワークを始めるのに必要な機材
テレワークではPCやタブレットなどのデバイス、無線LANやネット環境の準備も必要ですが、社外で働く人とオフィスの管理・連絡体制が整えられていることも重要です。
テレワークの管理・連絡を快適に行うためのツールとしては、次のようなものがあります。
- web会議ツール
- ビジネスチャットツール
- 勤怠管理ツール
- データ管理のためのツール
ツールを選定する際は、いくら高性能なツールがあったとしても社員が使いこなせなければ意味がないため、自社の業務内容に合ったツールを選ぶことが大切です。
さらに、状況に応じてテレワーク環境を整えるための補助を福利厚生として行えば、社員の負担を減らすことができ、仕事に対するモチベーションも上げることができるでしょう。
また、テレワークに必要な機材を会社が貸し出すのか、社員の私物を利用してよいのかもあらかじめ決めておきましょう。
社員の私物を利用する場合、セキュリティ面での安全性、ネットワークが業務に必要な回線速度を満たしているかなども考える必要があります。
私物の使用を許可する場合は、ウイルスソフトを導入する、OSを最新のものにアップデートする、万が一の故障等に備えてデータのバックアップを取る、などのルールを設けると良いでしょう。
デジタル移行
テレワークでは、アナログで管理されている資料をデジタルに移行する必要があります。
紙でやりとりされている書類などを電子化することで、出社せずに各種の申請や承認作業を行うことができます。
最初から全ての書類を電子化するのは時間がかかるため、クライアントとの契約書類などから電子化を進めると効率的です。
本格的にテレワークを導入する前に、ある程度デジタル移行を済ませておくとテレワークへの移行がスムーズに行えます。
テレワークのやり方③テレワークの注意点
テレワークを始める際に、よくある失敗例を見てみましょう。
無計画
現場の状況も把握していない、各部署の社員の意見も聞いていない状態でテレワークを導入すると、社員間でテレワークに対する温度差が生じてしまいます。
各部署でテレワーク導入に対する目的や意識を共有し、会社全体でテレワーク導入に取り組む必要があるでしょう。
ルールや制度の見直しができていない
テレワークになると、事務職など勤務時間で評価されていた社員の評価がしにくい、といった問題が起こることがあります。
こういった問題は、既存の社内ルールを見直していないことに起因します。テレワークのテスト段階で起こった問題を整理し、必要なツールを導入する、既存の評価制度を見直すといった対応が必要です。
ツールに頼ってしまう
テレワークでは、勤怠管理システムやクラウドシステムなどさまざまな便利ツールが活用できます。
特に給与管理から勤怠管理、セキュリティまで一貫して行えるクラウド管理システムは正しく運用すればテレワークでも効率的に管理することができます。
ですが、事前計画が不十分な状態でツールの導入が先行すると、自社にマッチしていなかった、必要な機能が足りなかったということが起こり得ます。
ツールは試用的に運用して、自社に適しているか精査して実装するのがベストです。
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