評価制度の導入にあたり、悩みがちなのが「評価制度の作り方」です。
どんな内容で作り、いつ社内で共有するのか、どう運用すべきかといった検討すべき点が多くあり、頭を悩ます経営者や人事担当者も多いはず。
もし現状維持でよければ、手間暇かかる評価制度は不要かもしれませんが、評価制度をうまく活用することで社員のモチベーションを高めたり、会社の業績アップにつなげたりすることが期待できます。
今回は、評価制度の作り方に加えて、導入や運用時のポイントについてくわしく解説します。
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評価制度の作り方を知る前に!目的を押さえよう
評価制度というと、社員の業績や勤務態度などを評価するための「点数付け」として行うものと想像する人が多いかもしれませんが、評価制度は、自社の理念やビジョンを浸透させることができる優秀で、人材の育成ツールとしても役立ちます。
もし社員の点数付けとしての目的だけで導入してしまうと、そこから発展しづらく、点数で判断された社員から不平不満をかってしまうこともあるでしょう。
評価制度の目的は、ビジョンの共有や人材の育成とし、公正に評価していることが分かるように「評価の見える化」をしていく必要もあります。その他に、個人で目標を持ち、取り組んでもらう目的で、評価制度を導入することもあるでしょう。
評価制度を導入した際の「効果」は?
実際に評価制度を導入すると、どんな効果が期待できるのかまとめました。
ビジョンの共有ができる
自社の未来図について、社員のどれだけが理解して取り組めているでしょうか。たとえば朝礼やチームミーティングで話していたとしても、自分に関係するものと思えず、ただ日常業務をこなしている社員は少なくないかもしれません。
そこで評価制度を導入し、自社のビジョンを定期的に共有し、一人ひとりの役割を伝えて個別に面談することで、当事者意識の芽生えが期待できます。
管理職の意識が高まる
評価制度は、管理職が部下の評価をするものと思われがちですが、実は管理職にとっても、良い効果が生まれます。
たとえば、評価制度のフォーマットをつくる際に、各チームごとに、管理職が部下の項目を設定しますが、部下の目標が明確になることで、管理職のメンバーも「自分もやらならくては」と奮起させられることがあるでしょう。
そしてチームの目標をたてることで、達成するという意気込みが生まれ、自己研鑽にもつながります。
社内リソースの最適化が図れる
自己評価制度では面談を行うため、現在の仕事状況などが把握でき、全体が見通しやすくなります。
すると客観的で無駄のない人員配置ができることに加え、社員の業務過多にならないよう、仕事の割り振りがしやすくなるメリットも生まれます。
実はありがち!評価制度の3つの失敗例
つぎに評価制度を導入した際に、よく起こりがちな失敗例について確認しておきましょう。
評価基準がよく検討されていなかった
評価制度では、部署や職位に応じて評価内容や評価基準を検討する必要があります。たとえば、事務職と営業職では仕事内容が異なるため、評価基準も考慮した方がよいでしょう。
もし評価基準を一本化してしまうと、業務に対して正当な評価がえられず、不満を募らせる社員が増えてしまうことになりかねず、その結果として、会社の成長を停滞させてしまう恐れもあります。
評価制度を作ること自体がゴールになってしまった
たとえば会社の方針だからと、評価制度をつくること自体が目的になってしまった場合は、評価制度を活かすことが難しく、いずれ形骸化していくでしょう。
評価制度は、ビジョンの共有や自社の発展のために、明確な目的を持って取り組み、運営していくことに重きをおく必要があります。
評価者と評価される側での意識の差が大きくなってしまった
評価する側と評価される側で、評価制度についての見解が異なる場合は、軋轢を生んでしまう場合があります。
たとえば、評価される側が自分の立ち位置や、求められるものが分かっていない場合、最適なパフォーマンスがとれず、その点で評価者に低評価されてしまうと、モチベーションが下がってしまうこともあるでしょう。
事前に一人ひとりと向き合い、評価者と評価される側で、評価指針についてもきちんと共有しておくと安心です。
評価制度の作り方!目標設定~運営までのステップ
ここからは評価制度の失敗例を踏まえて、実際にどんな流れで評価制度をつくるのか見ていきましょう。
評価制度の作り方①ルール・目標設定
評価制度では、自社のビジョンを踏まえ下記の設定をします。
- 定性、定量目標設定
- 役割の細分化
- ルール
- 評価シート決定
まずは具体的な目標をたて、どう達成していくのか、その役割を決めます。そして評価制度の運営ルールについても取り決めを行い、評価シートに落とし込んでいきます。
評価制度の作り方②報酬連動の仕組みづくり
報酬連動では、評価制度によっては賞与の査定や、昇給の有無が異なります。
評価基準が曖昧だと、社員のモチベーションに響いてしまうこともあるため、誰から見ても分かりやすいことがポイントになります。
なお、ワークスマイルラボでは評価項目と評価点数を決定し、社員の見えるところに配置しています。自社の求める役割を社員へ浸透させ、目標を明確に設定することで、目標を達成したときの処遇も明示しています。
「見える化」することは、公正に評価して処遇するという社員との約束にもなり、社員のモチベーションにつながります。
評価制度の作り方③被評価者・評価者へ向けた説明会の実施
評価制度を円滑に進めるためには、その内容はもちろんのこと、評価される側・評価する側でしっかり目的を理解することが大切です。
説明会を実施し、そこから出た意見をフィードバックし、自社に合ったものをつくりあげていくことも可能になります。
評価制度の作り方④運用支援を受ける
評価制度では、作り方から運営までプロのアドバイスをもとに進めると、自社に合った最適な方法で効率的に進められます。
もし運用支援を受けていない場合は、自社で試行錯誤しながら進める形になります。
評価制度の評価項目とは?
評価制度を作る際に必要となる「評価項目」は、2つの目標を基準にしてつくります。
行動目標
行動目標はその名の通り、会社の目標を達成するための行動が伴う目標のことです。具体的には以下の内容で作成するとよいでしょう。
- 会社共通
- 職種共通
- 役職共通
- 個人
会社としての目標をふまえ、職種や役職での何をするかを明確にし、個人で達成する内容についても具体的にすることがポイントです。
数値目標
数値目標は、職種や職位によって異なります。例えばチームリーダーと新人、事務職と営業職では、会社から求められることや仕事内容も異なり、数値を表しにくい場合もあるでしょう。そのため、職種や職位の特徴をふまえて、慎重に設定する必要があります。
評価制度を作る上でのポイント
評価制度を作る上でどこに注意すべきか、気をつけるポイントについて見ていきましょう。
準備期間をとる
評価制度では、現状分析に始まり、報酬連動の設定や、評価基準の作成、社内説明会などさまざまな過程が生じます。
会社の成長につながる評価制度をつくり、運営していくためには、半年~1年の準備期間をとり、見切り発車にならないよう、進めていく必要があります。
人選は慎重にする
評価制度を誰がつくるのか、また誰が浸透していくのかもよく検討しないといけません。
経営幹部、人事担当者など、会社によって誰が適任かは異なりますが、通常業務に負担にならないように、選任していくことが大切です。
運用時期を押さえる
評価制度は、上期・下期や四半期などの決算期のタイミングに合わせて運用しましょう。決算期は、目標の振り返り・新たな目標立てを行うため、その期間に合わせて導入すると、区切りがよくなります。
評価制度をスムーズに運営するコツ
評価制度をスムーズに運営するコツは、評価制度をただの点数付けのツールにするのではなく、人材の育成ツールとして活用することです。そこでは、社員に誤解をあたえないよう、評価制度の目的をきちんと共有しておくことが大切です。
また、面談を行う頻度も検討しましょう。最終面談の1回だけではなく、中間面談を実施し、達成すべき目標のずれが生じないようにします。事前に、面談内容・頻度・時間のルール決めをしておくとスムーズに進められるでしょう。
評価制度の作り方~運営まで!ワークスマイルラボにお任せ
ワークスマイルラボでは、評価制度を活用するための仕組みづくりから運用まで、中小企業のサポートをしています。
評価制度について、自社での成功事例をふまえ、多角的にアドバイスをしていますので、疑問点やお困りごとがありましたらお気軽にお問い合わせください。
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