近年、多様なワークスタイルが広まる中で注目されているテレワークとリモートワーク。
どちらも遠隔での業務遂行を指す言葉ですが、言葉の定義や使われる場面にどのような違いがあるのでしょうか?
今回は、テレワークとリモートワークの定義や、使われる状況の違いなどを解説します。
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テレワークとリモートワークの意味の違いは?
テレワークとリモートワークは、遠隔で仕事をするという意味で共通しています。2つの言葉に、どのような違いがあるのでしょうか。
テレワークとは
テレワークは、英語でtele(離れたところ)、work(仕事)の2語の合体で、離れたところで働くという意味です。
テレワークの起源は1970年代のロサンゼルスだといわれています。自動車による大気汚染が深刻化、二度にわたる石油危機の影響もあり、問題解決の方法として自宅にいながら仕事ができるスタイルとして考案されました。
日本では、1984年に日本電気(NEC)が吉祥寺にサテライトオフィスを導入したのが、テレワークの先駆けとされています。
1984は日本でインターネットが始まった年であり、当時、日本電気は六本木港区にオフィスがありましたが、結婚出産により退職する女性が多かったことから、家にいながら働ける方法を採用したのです。
そして、21世紀になると将来の少子高齢化が懸念されるようになったことから、家でも働きやすい環境が広がっていき、昨今の社会情勢の後押しによって急速にテレワークが拡大することとなりました。
リモートワークとは
リモートワークは英語でremote(遠隔)、work(仕事)の2語の合体です。基本的に、テレワークと同じ意味の言葉です。
作られて日が浅い用語のため、語源も明らかではなく明確な定義がなされていません。
また、フルリモートという言葉もあります。フルリモートワークの略語で、オフィスに全く出社しない勤務形態です。
リモートワークを採用する会社には、週2-3日リモート可のような方式や、基本は出社で条件付きリモートワーク可にするなど、さまざまな形態が見られます。
一方、フルリモートは一切出社しない勤務形態です。
育児と仕事を両立させたい人、デザイナーなど都市部に求人が多い仕事を探している地方在住者にとって、アドレスホッパーやワーケーションといった働き方と並び注目されています。
「テレワーク」「リモートワーク」使い分け方の違いは?
テレワークとリモートワークの使い分けに、基準はあるのでしょうか?
テレワークは明確な定義がある
リモートワークは、言葉の歴史が浅く定義も曖昧です。
一方、テレワークの定義は「日本テレワーク協会」によって明確に決められています。
テレワークは時間に関しての定めはなく、業務をする場所で呼称が変わります。
テレワークの形態 | 場所 |
自宅利用型テレワーク | 自宅 |
モバイルワーク | 移動中 取引先のオフィス |
施設利用型テレワーク | サテライトオフィス シェアオフィス |
リモートワークは場所で呼称が変わることはなく、表中の労働形態は全てテレワークでありながらリモートワークでもあります。
この違いについて、それぞれ解説します。
自宅利用型テレワーク(在宅勤務)
自宅利用型テレワークは、自宅で業務にかかる形態です。育児や介護といった家庭の事情に対応しやすいのが自宅利用型テレワークの強みです。
自宅利用型テレワークを導入することによって、人材不足が懸念される企業などが女性やシニアなどの潜在的な労働力の確保が可能になります。
また満員電車での通勤ストレス軽減や移動時間の削減による生活の質の向上が見込まれ、生産性を高めることもできます。
しかし、在宅勤務は業務を効率化する一方、仕事のON・OFFが切り換えづらい、長時間労働になりやすいといった自宅の環境整備、家族の在宅状況などに起因する問題も起こることがあります。
特に首都圏では、自宅に書斎などの区切りスペースがない、家族がいて仕事に集中できないといった状況も考えられます。
さらに、自宅では時間の管理がルーズになりがちであり、長時間労働になることがあります。
これらを回避できる勤務方法が、施設利用型テレワークです。じっくり集中したい業務があるとき、家族がいる自宅より効率的といえるでしょう。
施設利用型テレワーク
施設利用型テレワークは、サテライトオフィスやレンタルオフィスで仕事をする働き方です。施設利用型テレワークでは、地方企業が都市に、都市の企業は郊外にサテライトオフィスを設置して通勤が困難な社員の勤務に対応します。主に会社に雇用される人のためのテレワークといえるでしょう。
オフィスまでの通勤時間も短縮でき、時間の効率化や生産性の向上が期待できます。
またカフェなどのモバイルワークで懸念される情報漏洩の危険がないのも、施設利用型テレワークの利点です。
モバイルワーク
モバイルワークは、近年発達しているICT(情報通信技術)を利用して働く方法で、オフィスなどの勤務場所に依存しない働き方になります。例えば移動中、顧客先で仕事をするのはモバイルワークです。また、広義では出張中カフェで仕事をするなども含まれます。
テレワークとリモートワーク実際どのように使い分ける?
テレワークとリモートワークは実際どのように使い分けられているのでしょうか。
行政機関は「テレワーク」を用いる
日本政府は2020年東京オリンピックの混雑緩和を目的に、2017年7月24日をテレワークデイ、2018年は複数日を「テレワークデイズ」に指定しました。
東京都も、2020年に向けた実行プランの一環として東京テレワーク推進センターを設置、企業に対するテレワークを推進しています。
総務省では、地方のサテライトオフィスにて都市部の業務を行うふるさとテレワークを実施するなど、地方自治体や民間企業にサテライトオフィス環境を整備する取り組みをしています。
このように、行政機関や公文書ではテレワークという言葉が使用されています。
「リモートワーク」はエンジニア・デザイナー系に多い
テレワークが場所で定義されているのに対し、リモートワークは、チームで働くことの多いエンジニア・デザイナー等の仕事で用いられることが多い言葉です。
例えば、ITの世界では一つのシステムを構築するのに、様々なスキルが必要です。
基本的には個人のスキルを用いた作業の時間が多いため、チームメンバーが同じ場所にいる意味がなく、チャットやSNSで連絡し合うほうが効率的です。
そのため、ITエンジニア・WEBデザイナーなどの業種では、特殊なスキルを持った人がツールや技術を利用しながらチームになり、遠隔で作業することがあります。
また、一人が複数のプロジェクトに参加する場合、様々なチームと仕事することがあるため、場所、時間、雇用形態の制約を受けにくい働き方ができるリモートワークが歓迎される傾向にあります。
テレワークは日本人にとってなじみ深い言葉
使用される頻度という点で、テレワークはリモートワークよりも日本人にとってなじみ深い言葉といえます。
サテライトオフィス協会は、2000年にテレワーク協会と名前を変更しテレワークを普及させてきました。
現在のように在宅勤務が広まる前からテレワークという言葉が使われてきたこともあり、日本人にはなじみ深い言葉になっています。
今後方針が変わらなければ政府官公庁はテレワークという言葉を使い続けると考えられるでしょう。
将来的には大企業、政府、環境庁はテレワーク、IT系職種はリモートワークと線引きが強くなる可能性はあります。
テレワーク・リモートワークの呼称の使い分けは?
テレワークとリモートワークは、言葉の意味的には大きな違いはありません。
一般にはテレワークの認知が進んでおり、メディアでもテレワークが多く用いられています。
また、テレワークは権威のある組織に使用されることが多いので自治体に助成金の申請をする時や、大きな組織とやり取りする時はテレワーク、IT係企業などの小規模な組織とのやり取りはリモートワークといった具合に相手やシチュエーションで使い分けるのがいいでしょう。
テレワークとリモートワークの部署・職種による違い
テレワークとリモートワークは、業務上の部署・職種によって使い分けることもできます。
テレワーク | リモートワーク | |
職種・部署 | 管理部 営業部 クライアント対応 | エンジニア ライター デザイナー |
大企業や官庁に対応する部門はテレワーク、リモートワークはweb系やフリーランス関連の部署など、明確に定義されてはいないものの、使い分けをすることで職種・部署違いの人とのやり取りが円滑に進むでしょう。
テレワーク・リモートワークは働き方で違いがある
テレワーク・リモートワークは雇用型と自営型で大きな違いがあります。
雇用型 | 自営型 | |
従事者 | 社員 アルバイト | 個人事業主 フリーランス |
メリット | 会社に守られる | 実力次第で収入も増える |
デメリット | 仕事が選べない・自由が少ない | 確定申告や営業が必要になる |
雇用型
雇用型テレワークでは、社員やパートタイマーとして組織に雇用されてテレワーク・リモートワークを行います。
時として出勤が求められ、仕事内容は選べませんが会社から守ってもらうメリットはあるといえます。
自営業やフリーランスに比べて自由度は低いですが、安定度の高さは利点といえます。
コロナ渦の影響もあり、テレワーク・リモートワークを採用する企業は増えています。
自営型
会社に雇用されず、自営業やフリーランスとしてテレワーク・リモートワークに参加する「自営型」もあります。
雇用型に比べ作業時間なども自由度が高いのが特徴です。
ただし、自分でスケジュール管理する力が必要であり、積極的に業界知識を深める向上心がないと稼ぐのは難しいといえます。
自営型リモートワークは、クラウドソーシングの登場で間口が広がっている働き方です。
テレワーク・リモートワークの違いを知り使い分ける
就労者にとって働きやすさの基準は異なるため、一つのテレワークに絞り込む必要もありません。
例えば、在宅勤務では、就労場所が原則自宅になります。カフェなど外部施設の利用を好む人は、不自由さを感じるかもしれません。
在宅勤務、サテライト勤務、モバイルワークなど各テレワークの違いを理解することで、働き方について、柔軟に対応することが重要といえるでしょう。
テレワークや「働き方」に関するお問い合わせは下記からご連絡ください。
今回はテレワークとリモートワークの違いについて解説しました。
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